文学効能事典 あなたの悩みに効く小説
https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51RkF3EgZsL.jpg
これから毎日一項目だけツイートして考えることにする(誰か案があったら気軽にリプしてください)。
実写映画とか純文学よりの作品で似たテーマの作品をオススメしてくれる人がいれば、ボクとしては嬉しいけど。
功利的な意味で読書をすることはないし、そもそも功利的な価値があるのかも分からない(実証性もないし)という意見があるかもだけど、最近こんな状態だけどというところから連想して自分が次に読む作品を決める的なゆるさで書けばいいかなって思ってます。
目次
インフルエンザにかかったとき
嘘をついてしまうとき
恨めしいとき
【読書の悩み】SFが嫌い
怒りっぽいとき
お茶がほしくてたまらないとき
思いきり泣きたいとき
重い病気ではないかと心配なとき
思いやりに欠けるとき
外国人嫌いのとき
外人と呼ばれるとき
買い物依存症のとき
鍵がなくて家に入れないとき
風邪をひいたとき
【読書の悩み】家事が忙しくて集中できない
家族がいなくてさびしいとき
片思いのとき
堅物すぎるとき
花粉症のとき
感傷的(センチメンタル)なとき
感情を表すのが苦手なとき
感情を抑える癖があるとき
ガンになったとき
きちょうめんすぎるとき
着ていく服がないとき
希望を失ったとき
90歳のとき
空腹のとき
愚痴っぽいとき
クリスマスが憂鬱なとき
車酔いのとき
月経前緊張症のとき
結婚しているとき
月曜の朝が憂鬱なとき
下痢のとき
トイレで読むのにおすすめの小説
【読書の悩み】現実を生きることに忙しい
倦怠感に襲われたとき
恋した相手が尼僧でもあきらめられないとき
恋した相手が既婚者でもあきらめられないとき
恋人と年が離れているとき
恋人と別れたとき
恋人と別れたときにおすすめの小説
恋わずらいのとき
高血圧のとき
血圧をさげるのにおすすめの小説
効率的すぎるとき
腰が痛いとき
50歳になったとき
50代の人におすすめの小説
ごちそうを焦がしてしまったとき
言葉に詰まるとき
子供がいないとき
子供を産まなければというプレッシャーがあるとき
【読書の悩み】子供がたくさんいて手がかかる
罪悪感にさいなまれたとき
菜食主義に固執しているとき
作家がスランプにおちいったとき
座を白けさせてしまうとき
30歳になったとき
30代の人におすすめの小説
自己中心的なとき
自己評価が低いとき
思春期で悩んでいるとき
高校卒業から20歳までにおすすめの小説
実存的不安を感じるとき
嫉妬にさいなまれたとき
自分が仕切らないと気がすまないとき
自分がどこにいるかわからなくなったとき
自分がまぬけに思えるとき
自分の鼻が嫌いなとき
【読書の悩み】自分の好みの本がわからない
周囲に溶け込めないとき
10代のとき
10代におすすめの小説
出世欲が強いとき
【読書の悩み】集中できない
純真な心を失ったとき
冗長になってしまうとき
職業の選択を間違ったとき
食欲がなくなったとき
職を失ったとき
救いようのないロマンチストのとき
ずぼらなとき
性欲がなくなったとき
性欲にさいなまれたとき
背が低いことで悩んでいるとき
セックスのしすぎのとき
セックスレスのとき
早漏のとき
退屈なとき
【読書の悩み】大評判の本が嫌い
誕生日が憂鬱なとき
男性型インフルエンザのとき
父親の役割がうまく果たせないとき
チャンスをつかむのがへたなとき
虫垂炎のとき
疲れているとき
疲れて感情的になったとき
つま先をぶつけたとき
罪に問われたとき
手足を失ったとき
陶磁器を壊してしまったとき
同性愛嫌悪症のとき
都会に疲れたとき
【読書の悩み】読書健忘症
【読書の悩み】読書のせいで孤独になってしまう
独身のとき
歳をとるのがこわいとき
【読書の悩み】途中で投げ出してしまう
【読書の悩み】途中で投げ出すことができない
【読書の悩み】飛ばし読みする傾向がある
仲間はずれにされたとき
70歳になったとき
70代の人ににおすすめの小説
憎しみを感じるとき
肉食がやめられないとき
逃げ出したくなったとき
20歳になったとき
20代の人におすすめの小説
21世紀的不安を感じるとき
日常に飽きたとき
おすすめのファンタジー小説
入院したとき
入院したときにおすすめの小説
人間嫌いのとき
ネクタイに卵がついていたとき
歯が痛いとき
歯が痒いとき
吐き気がするとき
80歳になったとき
80代の人におすすめの小説
【読書の悩み】パートナーが読書好きでない
男性のパートナーが小説を好きにするのにおすすめの本
女性のパートナーが小説を好きにするのにおすすめの本
パニック障害のとき
腹が立ったとき
悲観的なとき
飛行機がこわいとき
飛行機で読むのにおすすめの小説
人をいじめてしまうとき
人を殺したくなったとき
秘密をもらしたくなったとき
100歳になったとき
100歳以上の人におすすめの小説
漂泊の思いがやまないとき
漂泊の思いがやまないときにおすすめの小説
悲恋落ちたとき
広場恐怖症のとき
ファザコンのとき
【読書の悩み】分厚い本を読む気がしない
おすすめの大長編小説
部外者のとき
深く関わるのがこわいとき
不景気のとき
二日酔いのとき
閉経したとき
【読書の悩み】文学通にみられたい
文学通にみられたいときにおすすめの小説
閉所恐怖症のとき
便秘のとき
暴飲暴食をしてしまうとき
放浪癖があるとき
【読書の悩み】本の数(世の中)に圧倒されてしまう
【読書の悩み】本の数(家の中)に圧倒されてしまう
【読書の悩み】本を買わずにいられない
【読書の悩み】本を大事にしすぎてしまう
待合室にいるとき
耳鳴りがするとき
無意味なことをしてしまうとき
無気力なとき
向こうみずなとき
めまいがするとき
盲目的な愛に溺れたとき
もうろくしてきたとき
薬物依存症のとき
野心がありすぎるとき
野心がなさすぎるとき
やるべきことを先送りしてしまうとき
幽霊に取り憑かれたとき
夢破れたとき
ユーモアがわからないとき
笑いたいときにおすすめの小説
40歳になったとき
40代の人におすすめの小説
【読書の悩み】読み終わるのがこわい
【読書の悩み】読み始めるのがこわい
【読書の悩み】読んでいる本を見られるのが恥ずかしい
楽観的なとき
流産したとき
【読書の悩み】旅行にどんな小説をもっていったらいいかわからない
ハンモックで読むのにおすすめの小説
恋愛ができなくなったとき
60歳になったとき
60代の人におすすめの小説
会社で叱られるとき
なんのために生きているか分からなくなったとき
友人が結婚したとき
この本は、体や心の具合が悪いと感じたときに開いて、その対処法を知るために参考にしてほしい──といっても、いわゆる健康本や医学解説書とはちがう。
どこがちがうかというと、まず、取り上げている症状や悩みの種類がバラエティに富んでいる。体の痛みも心の痛みも区別することなく取り上げているので、この本を開けば、「腰が痛いとき」や「歯が痛いとき」と同様に、「恋人と別れたとき」の対処法もみつかる。また「ホームシックのとき」や「飛行機がこわいとき」など、よくあるストレスを感じやすい状況も取り上げているし、「結婚相手をまちがえたとき」や「職を失ったとき」など、人生の深刻な危機も心身の不調をもたらす悩みとして取り上げている。さらに「二日酔いのとき」や「深く関わるのがこわいとき」、「ユーモアがわからないとき」などのささいな症状や悩みも、ケアの必要な疾患とみなしている。 そしてもう一つ、ふつうの健康本や医学解説書とちがうのは、症状の改善のためにすすめる薬が薬局ではなく書店や図書館にある点だ。場合によっては、ネットショップから手持ちの端末にダウンロードすることもできる。つまり私たちは「読書療法士(ビブリオセラピスト)」であり、治療に使うのは本だ。取り揃えている薬は、ヘミングウェイ、トルストイ、サラマーゴ、ペレック、メルヴィルなど、さまざまな種類があるが、それらを用意するために、古くは2世紀の作家アープレーイユスの『黄金の驢馬』から、現代の強壮剤ともいうべきジョナサン・フランゼンの作品まで、2000年に及ぶ文学史のなかから、最高の優れた知性にあふれ、もっとも心身の回復効果が期待できる小説を集めた。
「読書療法(ビブリオセラピー)」は、ここ数十年間、ノンフィクション系の自己啓発本という形で普及してきた。しかし、文学愛好家は、意識してかどうかは別として、大昔から小説を軟膏のように使って傷をいやしてきた。だから、元気を回復させたいとか、不安定な感情をなんとかしたいと思うことがあれば、ぜひ小説を手に取ってほしい。というのも、小説は読書療法の薬として、もっとも純粋で信用できるうえ、その効能はひじょうに高いからだ。私たちはそれに関して、クライアントから直接話を聞くほか、数多くの事例を直接間接に見聞きしてきた。ときには小説のプロットが魔法のような効果を発揮するし、散文のリズムが心を鎮めたり刺激したりするのに役立つ。また、自分と同じような苦境にある登場人物の考えや態度が、よい影響をもたらすこともある。いずれにしても、小説には読む者を別の存在に移し替え、違う視点から世界をながめさせる力がある。小説を読むことに没頭しているとき、読者は登場人物が見ているものを見て、さわっているものをさわり、学んでいるものを学ぶ。体は自宅のリビングのソファに座っていても、思考や感覚や精神など、自分にとって重要な部分は、完全に別の場所に存在するのだ。「私にとって、ある作家の作品を読むことは、たんにその作家が書いていることを理解することではなく、一緒に旅に出るようなものだ」 アンドレ・ジッドはそういっている。そんな旅に出たら、だれでも人生が変わるはずだ。
体や心のどんな不調に対しても、この本が提示する処方箋はシンプルだ。1冊(ときには2、3冊)の小説を、一定の期間内に読むこと。それで完全に不調が治る場合もあれば、自分はひとりじゃないとわかって慰められるだけの場合もあるだろう。しかし、いずれにせよ、たとえいっときでも、症状は緩和されるはずだ。小説には気を紛らわせ、我を忘れさせる力があるからだ。オーディオブックを使うのが効果的な場合もあるし、友人と一緒に朗読するのがいい場合もある。普通の薬と同じように、処方された本は最後まで読み切るのが、いちばんいい結果につながる。この本では、読書療法による疾患の治療法、対処法のほかに、忙しすぎて本が読めないとか、眠れないときに何を読んでいいかわからないといった読書の悩みに対するアドバイスや、年代別におすすめの小説のリストも載せている。
心身の不調を改善する薬として本書でおすすめする小説を、読者の皆さんが十分に楽しんでくれることを願っている。それによって、いま以上の健康と、幸福と、より多くの知恵を手に入れてほしい。
(本書「はじめに」より)
目次
本書に収録されている作品の例
インフルエンザにかかったときは… →『アクロイド殺害事件』アガサ・クリスティ
月曜の朝が憂鬱なときは… →『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ
死ぬのがこわいときは… →『ホワイト・ノイズ』ドン・デリーロ/『百年の孤独』ガルシア゠マルケス
腹が立ったときは… →『老人と海』アーネスト・ヘミングウェイ 花粉症のときは… →『海底二万里』ジュール・ヴェルヌ
無職のときは… →『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹
楽観的すぎるときは… →『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ
つま先をぶつけたときは… →『若い藝術家の肖像』ジェイムズ・ジョイス
憎しみを感じるときは… →『一九八四年』ジョージ・オーウェル
重い病気ではないかと心配なときは… →『秘密の花園』バーネット
逃げ出したくなったときは… →『走れウサギ』ジョン・アップダイク
歯が痛いときは… →『アンナ・カレーニナ』トルストイ
復讐したいときは… →『嵐が丘』エミリー・ブロンテ
思春期の悩みがあるときは… →『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J・D・サリンジャー
嘘をついてしまうときは… →『贖罪』イアン・マキューアン
周囲に溶けこめないときは… →『かもめのジョナサン』リチャード・バック
読むクスリ、処方します。小説で愉しむ「病」と「悩み」の処方箋。